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2010/07/27

Freudの生家

 このブログでは海外に出て行くことがあっても、その行き先を明確に書いたことはない。またこれまで文章以外のものを載せたこともない(もしかしたら本の紹介の際に画像が表示されたことはあるかもしれない)。けれども、今回だけは別だ。今回のエントリは画像が多く、携帯で見ている人がいたら表示に時間がかかるかもしれないけれども、ご容赦願いたい。チェコ共和国にあるFreudの生家を訪ねてきた。

 ロンドンにFreud museumがあることは人に聞いて知っていたが、Freudがチェコで生まれたことを私は知らなかったので、チェコに行くことになった時、当然生家を訪れることについて考えたことはなかった。けれどもチェコのPříbor(プシーボル)にそれがあるらしいと聞き、向かってみることにした。調べてみると、Freudが生まれた当時はオーストリア帝国のFreiberg(フライベルク)であったらしい。

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 Praha(チェコ語Češtinaでプラハ;英語ではPrague)からEurocity(EC)と呼ばれるヨーロッパ諸国をまたがって走る列車、あるいはPendolinoと呼ばれる最新の高速列車に乗って、いくつかの各駅停車に乗り換えて、たっぷり4時間の旅を経てPříborは姿を表す。

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 単線が走るのどかな田舎町にもヨーロッパの冷ややかで容赦ない夏の日差しが降り注ぐ。日向は暑く、日陰は涼しく、吹き抜ける風は北からの風を運んでいる気がする。


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 不思議な雰囲気のミラーや、なぜそれがここにあるのかという点において不可思議さを醸し出す(多分きちんと理由があるのだと思う)飛行機の横を通り過ぎて北上する。

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 突き当たりで右折してすぐ見える、写真で左の白っぽい建物は博物館Muzeum Novojičínska。おそらく郷土資料館のようなものなのだと思うけど、ここにFreudに関する展示がある。
 常設展示なのかどうかは分からないけど。

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 ほの暗い廊下の奥にFreudの展示室がある。入場料は30Kč(チェココルネ)。
 ちなみにこの日は休館日だったようなのだけど、遠くから訪れた東洋人をかわいそうに思ったのか、特別に中を見せてくれた。開いていた扉から中に入った時にたまたま出会った人は英語が通じたけれども、責任者は英語が通じず、3人で話をしてそうなった。幸運だったと思う。

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 電気がついていないのは休館日だから。もともとヨーロッパは照明が弱いけれども、さすがに開館日は電気を付けているのではないかと思われる。

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 Salvador Dalíが描いたFreudの肖像画。

 博物館を後にして先ほどの同じ道を進んでいくと、1ブロック先にFreudの記念像が建てられている。その落成式の様子は博物館に記録として残されていた。

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 Freudの記念像。この土地の人にとってFreudがどれほどの意味を持つ人物なのか私には分からない。

 そこを右に折れて静かな幅の広い田舎の舗装道路を下っていく。途中で石畳の路地がそれと分からないように左に折れていて、そこを入る。

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 Freudの生家はそこにある。家は2005年に新しくなり、さらに2006年に塗り替えられたようで、その色合いがFreud少年が見たものと同じであった保証はどこにもない。家の前にはカウチの銅像。カウチが銅像化されるべき存在であるのかどうかも良く分からないけど、Freudが生まれた時に銅像があった可能性は間違いなくゼロである。

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 イスに座るFreud。テレビ画面の中のFreud。写真の中のFreud。小学校のイスのようなものの上におかれたボードにはFreudの言葉やFreudの絵を描くドイツのイラストレーターの言葉が記されている。

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 Despite studying woman's psyche for thirty years I am not able to answer a crucial and unanswered question: "What do women actually want?"

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 2階へ。カウチは壁に書かれた絵。だまし絵のような仕打ちだけれども、もしかしたらチェコ風の冗談なのかもしれない。

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 糸巻き。fort-da。

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 廊下は石造りのようだけど、これがもともとの廊下であったとは思えない。どうなのだろう。外から入り込む夏の日差しがゆっくりと闇に溶けていく。境界線のない移ろいに生と死の言葉を供えてみる。

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 Freud少年はどんな景色を目にしていたのだろう。

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 町にはこんなものも。Freudにあやかったペンション。下の写真はバーが併設されたホテル、U Freuda。Freudにあやかった名前なのかどうかがいまいち分からない。

 チェコ共和国モラヴィア地方にある小さな町は、こうしてひっそりとFreudの生家を保存している。私が訪れた時、そこを訪れている人はなく、Freudの銅像を振り返る人もいなかった。人々にとって当たり前の光景なのか、記憶から静かに滑り落ちてしまったからなのかは分からなかったけれども、日本からも時々は誰かがここを訪れているらしい。きっと世界中からぽつりぽつりと人が訪れているのだろう。
 生家の中はきれいに展示され、一角に受付があり、土産物が売られていた。受付にいた女性が精神分析と何か関わりのある人だったかは分からないけど、多分ないだろうと思う。尋ねてみれば良かったと今さら思うけれども、そうするにはもう遠すぎる。Freudの生家はそのような場所にある。

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コメント

What a great resource!

投稿: free government grant | 2010/08/11 08:40

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