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2010/04/01

帰国

 「帰国」といきなりタイトルに書いても分からないだろうけど、年度末の忙しい合間を縫って海外に出てきた。一般の、というか、学校や病院や福祉施設やそういった場所での臨床が年度末においてどの程度の忙しさを迎えるかは分からないが、大学は年度末はあらゆることの締め切りを迎え、続けて年度始まりはあらゆることの始まりを迎えるとあって、かと思えば春休みになることで自分のための時間を作ることもできるとあって、どのような時間配分のもとでここを通過するかはなかなかに悩み多い時期になる。私は今年度は、何とか時間をやりくりして海外の研究者のもとへ行ってきた。

 AAIの研修を受けに行った時同様に、今回も愛着に関わる測定法の研修を受けに行ったのだけど、AAIの時同様にやはり今回も出される課題の多い研修会だった。ページ数にしてレターサイズ56ページ、1行おきの逐語録をあらかじめ渡されてあって、向こうでそのスコアリングの確認をした後、今度は84ページ分の逐語録を渡されて翌日そのスコアリングの確認をする、という進め方。AAIの時はページ数こそもっと少なかったものの、スコアリングする困難さははるかに上で、どちらが良いのか分からない。でもAAIではそれが2週間続いた。今回はもっと短期間だった。どちらにしても夜遅くまで眠れなかった。
 とは言うものの、実際に私が渡された課題をこなしてくると、向こうの研究者はびっくりしていたので、そこまでやれるとも思わないまま課題を出していたのかもしれない。例えそうであったとしても、出される課題の量は圧倒的で、それをこなしたとしても、当然ながら向こうの研究者はその量の課題のすべてに解説を加えるわけだ。私が疑問に思うところには何かしらの答えを返してきて、何を基準にどのように考えてスコアリングをしているのかを伝えてくる。その揺るがなさには驚くばかりだ、といつも思う。研究において欧米は強いはずだ。

 AAIの研修を受けた時に一緒だった日本からの留学生が、大学院の講義では1つの科目で毎回2本くらいの論文を読んだ上でのディスカッションをしている、という話を聞いて、自分の大学院時代との違いを感じた。例え自分の専門分野でないものであっても、そうして彼らは学究の徒であるのだ。同時に、そうした課題を出す研究者たちは、あくまで研究者であって、彼らの本業は教育ではない。研究者を育てることはしても、学部生の教育が彼らの本業ではないし、話によると研究費で非常勤講師を雇って講義を任せるということすらできるらしく、そうやって大学は研究の場であろうとしている。そのことに今の自分の置かれている立場との違いを感じてもいた。
 今回行った大学も、敷地が広いためだろうけど(と向こうの研究者は説明していたのだけど)、3人でワンフロアを使い、そこに大学院生数人の部屋(ほぼ個室)と、資料を置く部屋と、実験をする部屋とStrange Situation Procedureを行なう部屋と、それぞれのワンウェイミラーの部屋と、自分たちの研究室とを持っていた。それが彼らの研究を支えているのだなと思うとうらやましかった。

 まあ、だからといってうらやんでばかりいても仕方がないので、私は私が置かれている環境でできるだけのことをしようと思うし、そうした環境を手にしたいのであれば私がそこに辿り着けば良いということであって、不平をこぼすことが私の仕事ではない。研修で学んだことを研究に活かせるよう、取り組んでいこうと思う年度始まりなのでした。

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