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2009/12/31

NPO法人を立ち上げる会合

 年末の慌ただしさが始まる頃、クリスマスの盛り上がりに向けて世間が加速していく時期になると、大学はようやく冬休みを迎えようかという雰囲気になる。大学によってはその前に卒業論文の提出を迎えることもあれば、提出期限を1月に設定している大学もある。どちらの大学であるにしても、慌ただしさを増す世間とは逆に、年末に向かうにつれて大学は閑散とし、教員は自分のための時間を作っていく。そうして暇が出来たところで、以前から検討していたNPO法人立ち上げのための会合を持った。

 本来であれば今年中には申請を出し、審査を受けるはずであったのだが、司法の領域では大きな事件というのがいくつかあり、私たちの活動の中心となっている人の動きがそれによって拘束されたり、それ以外にも諸般の事情が重なったりしたこともあって、ここまで動きが遅れてしまった。申請に先立って行われている活動は継続されているものの、関係者が一堂に会して話し合いを持つという機会も作れなかった。何より私は後から加わった者なので、いったい関係者と呼ばれる人たちがどういった人たちなのかさえ十分には分かっていなかった。
 冬の空気が街を包んでいるその合間を縫うような気候の中で、私たちはひとまず集まりを持った。

 集まってみて分かったのは、申請に必要な書類はある程度そろっているということだった。すでに叩き台となりうるような文書が作成されていた。それぞれの人がある程度のキャリアを持っていたおかげで、行政に提出する書類というものがどういった形式を備え、どういった内容を記し、どういった言葉を用いることが求められるのか、という点では大きな問題はないようであった。問題は、それぞれの人が心に思い描いている活動のイメージをどうやって共有し、どのようにしてそれをまとめていくのか、という作業であるようだった。
 それは現場で働いてきた人たちの特徴なのかもしれないし、ここに集まった人たちのたまたまの特徴なのかもしれないけれども、それぞれに思い描くイメージが具体的で思い入れがあるものであるために、話し合いの場において誰かの言葉を聞きながら自分の考えを絡めていくということが難しいようであった。それはまとまりが悪いとかそういうことではなくて(いや、そういうことなのかもしれないけれども)、どちらかというと考えをまとめるという作業が中立的な作業に属するものであって、こうした人々の間では誰も中立的になる余裕がないということであるように思えた。

 私に期待されていたのは、どうやらそうした議論をまとめ、交通整理をすることであるようだ。

 ちなみにNPOと冠される団体には、全部で3つの種類があり、私たちが設立を目指しているのはNPO法人と呼ばれる種類のものである。3つの種類とはNPO、NPO法人、認定NPO法人というもので、NPOはほとんど誰でも設立することが出来る、非営利な活動(収益をあげることを目的とするのではない活動)を行なう団体である。NPO法人とは、そのNPOが法人格を持ったものを指す。法人格を持つということは、その団体名で銀行講座を開設でき、部屋を借りることが出来、収支の報告や納税を行なうことが出来ることなどを意味する(あるいはそうした義務が生じることを意味する)。逆にNPOではそうしたことをすべて代表者を筆頭とした誰か個人の責任によって行なわなければならなかったのである。認定NPO法人はNPO法人の中でも特に認定を受けたものであり、その特徴は「寄付」にある。これにあたる団体に例えば寄付を行なうと、その寄付を行なった者が控除を受けることが出来る(個人なら所得税の控除、企業なら法人税の控除を受けられる)。さらに、NPO法人には収益をあげる事業とそうでない事業との区別があり、収益をあげる方の事業で出た利益には法人税がかかるが、認定NPO法人となることで収益をあげる事業で得た利益を収益をあげない事業への支出とすれば、これも寄付にあたるとして認定NPO法人自身も一定の範囲内で控除を受けることが出来る。
 ほとんどの方がこうしたことをご存知なかったと思うが、私ももちろん知らなかった。けれども私たちの行なおうとすることを考えた時に、ボランティアに近いNPOとしてではなく、社会の中に根を下ろした団体として、もっと言えば、ボランタリーにではなく責任と権利を背負った団体として活動するべきであるように私には思え、そのことは選択肢をNPO法人1つへと絞ることにつながっていった。おそらく他の人たちも同じ考えであったのだろう、議論は始めからNPO法人であることを前提にして行われていった。

 そのNPO法人の認証申請に必要な主な書類は以下の通り。
・認証の申請書
・定款
・役員名簿
・社員名簿
・設立趣旨書
・設立年度及び翌年度の事業計画書
・設立年度及び翌年度の収支予算書

 こうした作業になれていない私にとっては頭の痛くなるものばかりだが、集まっている人たちは逆にこうした作業に関しては慣れている。この日私たちが行なったのは、これからの活動の大枠を考え、私たちが目標とする活動を言葉にし、そこに至るまでの当面の目標を明確にすることだった。その中でそれぞれの人たちの思い描いているイメージが重なっていたり重なっていなかったりする部分を調整し、まとめあげることを繰り返した。それから設立趣旨書の下書きを検討し、そこに足りていない部分を捉え、どのような文章構成にするかを提案し、次の回に再度検討することを決めた。私の役割はそうした作業の司会進行役であり、議論のまとめ役であり、文章の方向性を定めていくことであった。
 そうして2時間が過ぎた。その段階で上にあげた書類のおおまかな内容が決定し、当然ながら団体のおおまかな方向性が明確になった(そうでないと書類を書けないので)。書類提出までの期限を決め、次回の会合の日時を決めて、この日は解散となった。

 どういった活動を行なっていくのか、それをどの程度ここで書くことが出来るのかは分からないけれども、いずれにしても私たちの歩みは始まった。その活動の性質が性質であるだけに、どこかの段階で社会に向けて情報を発することが必要となるだろうが、ここはその窓口ではない。けれども、この領域に関心があり、この領域で仕事をしたいと願っている人にとって、何かしら意味のあるエントリをあげていければと思い、こうして私たちの活動を記している。
 どこまでたどり着けるかは分からないけれども、行けるところまではこのやり方で進んでみようと思う。

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