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2007/03/01

心理学実習 基礎編

高石浩一・谷口高士編 心理学実習 基礎編 培風館

 めずらしく人から本をもらった。著者の一人なのかと思ったらそうでもないようだけど、せっかくなので感想をここに記そうと思う。さっと目を通しただけなので詳しいレビューというほどのものではないのだけれども。

 これは、いくぶん網羅的になっているものの、心理検査や心理測定尺度、あるいは心理学実験についての主だったものが集められた実習用のテキストである。それぞれの簡単な理論的、学術的背景とともに実施法、対象、結果の整理の仕方、解釈についてまとめられている。こうした基礎的な知識に加えて、このテキストの特徴となっているのは、それらの教材、あるいは実験をどのように用いて実習を行えばよいかについてのヒントがちりばめられているところだろう。特に、行う実習について、どのようなディスカッションをするとよいかという情報には、実際に実習を行ってきた人々ならではの実際的な発想が見受けられて助けになるところが大きかった。欄外には実習に関連する臨床心理学的なトピックもあげられており、実習のテキストとして使いながら、心理学や臨床心理学について学べる構成になってもいる。
 ただそれだけに、全体にあれもこれもと情報量が増え、その反面散漫になってしまっている印象を受ける。質問紙作成の実習の章にはごく基礎的な統計の知識まで入っていて、実際に実習においてはそれが必要ではあるとしても、テキストの中にわざわざその解説まで盛り込まなくてもよかったのではないかと思う。また、このテキストのポイントであるだろう実習の工夫についての記述も、それが書かれているものと書かれていないものがあり、あっても工夫として目を引くほどにはなっていないものもあった。特に心理学の実験についてその傾向が強く、そのあたりはもしかしたらこのテキストを編纂する際の難しさを反映しているのかもしれない、ということを思わなくもなかった。
 しかし、これまでにあまり目にすることのなかった種類のテキストということで、これからが期待されるジャンルではあるので、版を重ねる中で熟成されれば、案外面白いものになるのではないかと思いながら読んだ。

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