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2007/02/08

認知療法と短期力動的心理療法(2)

Svarberg, M., Stiles, T. C., & Seltzer, M. H. (2004) Randomized, Controlled trail of the effectiveness of short-term dynamic psychotherapy and cognitive therapy for cluster C personality disorders. American Journal of Psychiatry, 161, 810-817.

前回のエントリ
 →認知療法と短期力動的心理療法(1)

<結果>
記述統計と予備的分析
治療者の効果 同等に効果的(p値.26-.61、M=.40)
自然消滅、追加治療、投薬
 1人が中断(ベースラインには含まず)
 各治療1人ずつがフォローアップに参加せず
 各治療1人ずつがフォローアップ中に追加の治療
  短期力動的心理療法患者1人が抗うつ剤
  追加治療の効果は小さいか無視できるためデータは含まれる
治療期間に短期力動的心理療法患者3人と認知療法患者2人が催眠
 短期力動的心理療法患者2人と認知療法患者1人が抗うつ剤
 投薬の効果は非常に小さい
効果
精神医学的症状(SCL-90-R)と対人問題(IPI)
1.全患者
 治療期間中の変化の推定量はSCL-90-Rで.025/m、IPIで.020/m
 フォローアップ中では.005/m、.010/m
2.治療法の効果
 終結時の状態と変化率への効果の推定量はほぼゼロ
 効果量も小さい
 →改善の軌跡は類似
3.変化率を治療法ごとに検証する
 治療期間中、後の症状と対人問題の効果量が比較的大きい
 短期力動的心理療法だけがフォローアップ中の症状変化の推定量が有意
 (しかし上述の通り両治療法の差は有意ではない)
人格の病理(MCMI)
1.全患者
  治療期間中、後のMCMIは良い方向に有意に変化
2.治療法の効果
  終結時にもフォローアップ時にも有意な差はない
  顕著なクラスターCの症状がある(74点以上)人の割合
   短期力動的心理療法 開始時88%→終結時72%→2年後50%
   認知療法 開始時87.5%→終結時72%→2年後50%
臨床的に重要な変化
臨床的に重要な変化は通常の機能性に戻れたかどうか
・回復(非機能→機能かつその変化の大きさが統計的に信頼できる)
・改善(非機能→機能)
・悪化(変化の大きさが統計的に信頼できるが非機能→機能の方向ではない)
・変化なし
1.全患者
 変化なし・悪化の率
  治療期間中で60-70%、フォローアップ時で37-51%(←52%?)
2.治療法の効果
 フォローアップ時の症状(SCL-90-R)の回復
  約50%の短期力動的心理療法患者、約40%の認知療法患者
 IPIとMCMIによる回復
  治療法による差は小さい
  相対的に多くの患者が回復
  終結時よりもフォローアップ時により回復
   MCMIでは短期力動的心理療法で有意な差、認知療法で有意傾向

<議論>
◦短期力動的心理療法における群内効果量は全ての測度で大きい
 Winston et al.の2、3倍
◦他の効果研究と異なり本研究の患者は治療後も有意に改善し続けた
 短期療法の正当性
 Sifneosらは成功した短期療法では終結後も利益を得られると論じている
◦2つの治療法による差はなかった
 中程度の差の検出力が不十分なため第2種の誤りを冒す危険も
 →両グループの平均値が本当に等しいかを疑うのは正当なこと
  初期と変化率を用いて事後等価検定(post hoc equivalency test)
   人格病理のグループ差は小さい
   しかし症状と対人問題はそう結論づけられない
   ←SCL-90-Rにおける臨床的に重要な変化の割合の結果
◦回復率がフォローアップ時により大きい傾向
 この傾向は特に短期力動的心理療法に強く、MCMIにおいて有意
 治療の遅延効果(delayed effect)
 MCMIはSCL-90-RやIPIとは異なる領域を捉えていることを示してもいる
◦限界
 中程度の効果量には検出力が不足
 観察者評定の測度がない
 非治療比較群を含めていない
  倫理的問題と心理療法は治療しないよりもより効果的という理由
◦別の治療者やより大きな患者集団による確認待ち
 将来の研究では治療に反応する特徴・性格の特定が最も重要

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