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2006/12/29

認知療法と短期力動的心理療法(1)

Svarberg, Stiles, & Seltzer (2004) Randomized, Controlled trail of the effectiveness of short-term dynamic psychotherapy and cognitive therapy for cluster C personality disorders. American Journal of Psychiatry, 161, 810-817.

クラスターC(回避性・依存性・強迫性・受動攻撃性人格障害)への心理療法
統制された心理療法の効果検証が不十分
 先行研究 Winstonら(1994) 2つの力動的心理療法40セッション
 本研究 Winstonらを拡大 認知療法との比較
  おそらくはじめてのランダマイズされ統制された比較

<方法>
患者
5年間の募集期間中127名の紹介
 DSM-III-RのクラスターCに1つ以上該当し、A、Bには該当しない人
  SCID-IIによる評価・診断
  除外−精神病歴、物質依存・乱用、摂食障害、気質性の脳障害、重篤な身体疾患のある人
     活発な自殺行動のある人、録画を拒否した人、積極的治療の継続を拒否した人
 51人の患者(1人は出産後終了)
  研究手続の説明と参加への同意
  治療へのランダムな割り当て(25人ずつ)
  40セッション
 性別・年齢・婚姻状況・人種・学歴・I軸診断・II軸診断などを統制
治療と治療者
「短期力動的心理療法」
 精神科医3名+臨床心理士5名
 McCulloghのマニュアル
  防衛を直面化するよりも徐々に明確化する
  葛藤的感情に共感しながらそれを明らかにする
  不安を喚起することよりも制御することを助ける
  目標:それまで回避されていた感情が適切に体験され、表現されること
「認知療法」
 臨床心理士6名
  I軸の問題を扱う
  キーとなる否定的自動思考を同定し評価することを教える
  セッションを慎重に構造化し協調的で信頼ある関係を築く
  新しい経験や早期の経験の意味を解明する導入されたイメージの採用
  患者との協力のもと特定の問題に合わせた宿題を与える
  特定の認知的、行動的、情緒焦点的スキーマ再構築技法を適用する
  目標:新しく適応的な中核的信念を育てる
     適応的な問題解決的対人行動を育てる
 経験年数・担当患者数・トレーニング(含むSV)を統制
治療の健全さと弁別性
Inventory of Therapeutic Strategiesによる評定
 通常6回目のセッションを2人の独立した評定者が評定
 意図(探究的、支持的、work(作業?仕事?)拡張的)、内容、焦点(治療者、他者、自己)
 認知療法が強調していたもの=支持的方略・計画設定・宿題の割当
 短期力動的心理療法が強調していたもの=防衛への取り組み・転移への取り組み
効果測度
SCL-90-R
 症状の苦痛
Inventory of Interpersonal Problems
 主張性、親密さ、社会性、服従性、コントロール、他者への責任
Millon Clinical Multiaxial Inventory
 クラスターCを反映した人格病理の測定
 全体の平均は「著明な臨床症状」のカットオフポイント以上
測定時点
 治療中 開始−中期−終結
 フォローアップ 6ヶ月後−12ヶ月後−24ヶ月後
 MCMIは開始時、終結時、24ヶ月時のみ
 開始時に両軍に統計的に有意な差はない
統計的分析
SCL-90-R、IIPについて
 階層線形モデル
 患者内(水準1:経過による変化)、患者間(水準2:治療法)のモデル
 治療中、フォローアップで別々に分析
MCMIについて
 t検定
 対応のあるt検定:経過による変化、対応のないt検定:治療法の比較
 階層線形モデルには3時点での測定が必要
  人格病理は20セッションでの変化が鈍いと考えて中期では測定せず
 両側検定、α=.05、各群25人で中程度の効果量のときの検定力は.41
                大きい効果量のときの検定力は.79

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