« マニュアル | トップページ | カイ二乗検定 »

2006/12/05

卒論生用メモ

 相変わらずこのブログへの検索ワードは統計用語で占められている。私の勤務する大学でもそろそろ卒論の締め切りが迫ってきていて、学生たちは日々大学に泊まり込んで最後の追い込みにさしかかっている。締め切りがもっと遅い大学もあるだろうし、今ぐらいが締め切りになっている大学もあるだろう。以前に書こうとして途中で放棄した統計の基本的なメモをあげておこうと思う。

○基礎統計
 これくらいのことをまずは基礎的な統計量として結果の最初に記述しておくといい。
 1.使用した尺度全体の信頼性係数
 2.因子分析、下位尺度ごとの信頼性係数
 3.使用した尺度得点について、全体のn、平均、SD
 4.使用した尺度得点間の相関
 5.群分けするのであれば群分けの基準(平均値か中央値かカットオフポイントかなど)
 6.群ごとのn、平均、SD
 2.の因子分析は研究によってやったりやらなかったり。その尺度が使用されている先行研究よりもサンプル数(被験者数)が少ないのであれば先行研究にならった方がいい。
 3.は今回の調査のサンプルが先行研究と比べて違っているのか、同じなのかなどを比較する時に役立つ。
 4.はそれを眺めているだけで、どことどこに相関があるかが分かる。言い換えれば、どこに関連がありそうかが相関テーブルから拾える。予測される方向に相関がみられるか、みられないか。相関が見られなくても、一方が独立変数で、他方が従属変数で、他にも独立変数になるものがあって2要因の分散分析を計画している時には相関が見られないこともある。両方が独立変数である2つの変数に相関があることで、重回帰分析にかけられないこともある(多重共線性の問題)。そうしたことを相関テーブルから読み取り、後の統計処理に生かすことができる。
 とはいっても、そこまで分かるようになるにはある程度の統計の知識が必要なのだけど。それでも、昨日のエントリではないが、最初に「型」を覚えることは物事を学ぶ上では有効な方法だと思う。
 4.などはここで男女別の統計量も出しておくと便利なこともある。それをt検定で比較することで、男女差がないとなれば、男女を一緒にして以下の検討を行うことも可能になるからだ。逆にここで男女差が見られたら、性別も独立変数の1つとして扱っていったほうが望ましい(本当は望ましいというよりもそれをする必要があるのだが、あくまで卒論レベルではということで)。

○分散分析
 1.群ごとのn、平均、SD
 2.分散分析表
 2.は最近の論文では省かれることが多いが、卒論では4年間の集大成という意味で、そうした手続きの1つ1つを記していってもいいだろうと思う。多重比較(多くの場合Tukeyが使用される)や2要因以上の分散分析を行った時の主効果検定などはテーブルは作らず、文中で言及する。多重比較の手法、F値は記入する。交互作用があった場合など、それを視覚的に理解しやすいようにグラフを書くこともある。
 ちなみにグラフは、縦軸の数字の範囲に注意が必要。従属変数がとりうる値を縦軸の範囲にする。例えば6項目で5件法(1〜5点)の場合、縦軸の数字は最小値が6、最大値が30にする。そうでないとグラフの見た目で、必要以上に差が強調されたり縮小されたりするので。

○重回帰分析
 1.n、変数ごとの平均、SD
 2.重回帰分析表(と呼ぶのかどうかは知らない)
 2.には変数名、β(標準偏回帰係数)、R2(重決定係数)が含まれる。説明変数(独立変数を重回帰分析ではこう呼ぶ。従属変数は目的変数と呼ばれる)が2つ以上あり、その変数間に高い相関が見られる時は重回帰分析は行えない。行えないことはないが、たいていの場合行えず、行える時には高度な解釈が必要になる。(リンク

 卒論で扱う統計の多くは、このレベルだと思う。これにΧ2(カイ二乗)検定があるくらいだろうか。問題となるのはむしろ群分けをどのように行うか、人口統計的変数、静態変数(性別、年齢、地域、社会経済的地位、学力などなど)をどのように組み込むか、あるいは組み込まないかの判断の方だろう。
 あるいは、1つの統計から次の統計へとつなげていく時に、どのようにそこをつなげていくかの判断だろう。統計処理にも流れはある。それを判断するのは卒論生には難しいだろうから、教員や大学院生の仕事になるわけだけれども。

 いずれにしても、あとわずかなので卒論生の皆さん、頑張って自分なりの成果を残してください。

|

« マニュアル | トップページ | カイ二乗検定 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/88325/12939169

この記事へのトラックバック一覧です: 卒論生用メモ:

« マニュアル | トップページ | カイ二乗検定 »