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2006/11/09

卒業論文

 このサイトに訪れる人の何割かは検索サイトからやってくる。もともとなぜだか統計用語での検索が多かったが、ここに来て、その割合がさらに高くなっている。1位はSPSSだ。どうしてだろうと思っていたが、この時期は学部4年生が卒論を書く時期で、そろそろデータを集め終わって分析に取り掛かっている頃なのだと思い当たった。

 今でこそ私も統計の勉強をしているが、もともと私は統計を使うということが好きではなかった。この間それがどうしてなのかを思い出したのだが、私が卒業論文を書いた時に使ったのが重回帰分析だった。たしか階層的重回帰分析だったと思う。それについて調べていた時に、重回帰式は以下のように記述されていた。

   y=b1x1+b2x2+…+b0 (1や2や0は小さい下付き数字)

 わたしにはこれが分からなかったのだ。なぜbとxの組み合わせを足していくのか、その理由が理解できなかった。なぜx1とx2が掛け合わされたり、x1だけが2乗であるような式ができる可能性が排除されているのか。なぜ説明変数と目的変数は直線的な関係であるのか。それが分からなかった。
 説明変数が1つだけの単回帰式を考えた際に、たとえば自尊心と精神的健康は前者が増えれば後者が増える(あるいは減る)という単純な関係なのだろうか。自尊心がある値を取る時に精神的健康が極大値をとり、自尊心がそこから離れるに従って精神的健康は加速度的に低下をたどる2次曲線のような関係になったりはしないのだろうか。そんなことを考えるとよく分からなくなったのだ。

 相関もまた直線回帰を基礎としているけれども(最近になって曲線相関というものもある知ったけれどもそれでも)、その時からそうした統計の手法というものが必ずしも適切な基準を提供しているとは思えなくなってしまった。それは今でも変わらない。
 なぜ分散は個々の値から平均を引いたものを2乗するのか、絶対値を使ったり4乗したりするのではなぜダメなのか、なぜ回帰式は直線回帰なのか、有意水準5%という基準にはどんな根拠があり、それが5.380だったらどうなのか、そうした疑問が今でも消えないのだ。

 その統計を用いて検討された結果を科学と言われても、一定の手続きと一定の基準が適用されていることは認めるにしても、どこか釈然としない思いに駆られてしまう。単なる言い逃れなのかもしれないけれども、そんなわけで実のところ私は統計が苦手なのだ。

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