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2006/09/11

攻撃性の発達的理解

Fonagy, P. (2003) Towards a developmental understanding of violence. British journal of Psychiatry, 183, 190-192.

○幼少期〜思春期までの長期研究によると身体的攻撃のピークは生後2年目
 その後は人によって異なる軌道
→攻撃性がどのように獲得されるかではなく、おそらく生まれた時から存在
  暴力はむしろ通常の発達過程の失敗を示すもの

○愛着の進化論的目的の1つ=攻撃性の社会化
 18ヶ月時に安定型の子どもは欲求阻止の刺激から注意をそらす
  それがいつどう取り除かれるかを尋ねる
 power assertionによらない母親のコントロール
  子どもが刺激から注意をそらすモデルとなる
 母親の拒否
  気をそらすモデルとなることに失敗
  怒りを主要な反応とするモデルとなる
 22か月時の母親のpower assertion
  33ヶ月時の罪悪感(=攻撃性の抑制力)の少なさを予測

○心理化の能力
 他者に心があると仮定することはともに働くを可能にする
 表象能力(≒心理化)
  他者の心に理解される経験を通して獲得される
 →それにともなって身体的攻撃等による他者のコントロールはタブーとなる

○心理化の獲得の失敗は暴力に帰結する
 幼少期の虐待と外面化する問題の関連
  不適切な対人理解と制約ある行動上の柔軟性によって媒介
 攻撃性の高さ
  =心理的実体としての他者の感覚を確立することに失敗した愛着の経験
   ↓
 暴力のリスクを減らすには
  発達を支援する社会的機関が表象を豊かにするようデザインされる必要性

○暴力と障害された心理化の生物学的証拠
 前頭前葉部の皮質が暴力と関連
  心的状態の理解にも関連
 早期の(養育者−幼児)関係は幼児を保護するだけではない
 →脳の機能を組織化
  表象構造を作ることで自己統御する能力を獲得するための環境でもある

○結語
 他者を傷つける傾性の抑制を失う謎の答えは異常の中ではなく正常の中にある
 通常の人の発達の中に

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