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2006/09/27

クラスカル・ウォリス検定後の多重比較

 Rを使ってクラスカル・ウォリス検定、および多重比較を行ったというエントリーを書いたところ、ロテ職人さんから、クラスカル・ウォリス検定で有意差が出た時の多重比較はマン・ホイットニーのU検定でやるのではないかとコメントをいただいた。正直、こんな世界の隅っこでやっているブログが発掘されるとは思っていなかったので驚いたが、どうやらリンクまでしていただいているようで。とにかくよく分かっていないノンパラを少し勉強してみた。

 コメントをもらって1つ不思議に思ったのが、クラスカル・ウォリスの後にマン・ホイットニーというのは、分散分析の後に多重比較としてt検定をやるようなもので、そのようなことが可能なのかということ。(クラスカル・ウォリス検定は分散分析のノンパラメトリック版で、マン・ホイットニーのU検定はt検定のノンパラメトリック版。両者の違いは前者が3群以上、後者が2群の比較を行うというところ。)
 こんな時に大学に勤務しているのは便利で、いつもお世話になっている先生にまずは聞いてみた。すると、査読者によっても違うが、有意水準を群の数で割りそれを基準にするボンフェローニ法を適用して、マン・ホイットニーでもいいのではないかということだった。ただし、それだと基準となる有意水準が極端に低くなるので、実際にはそれを加味しながら幅を持たせて解釈すれば良いのではということだった。

 さて、ネットでは小山先生の私のための統計処理というところが分かりやすくまとまっていた。ここによると、一般に分散分析の多重比較として行うテューキー法(テューキー・クレーマー法)のノンパラ版はスティール・ドゥワス法であり、別の方法としてGames-Howel法というものも紹介されていた(後者については分かっていない)。大学で別の先生に見せてもらった「SPSSの○○の手順」(詳しくは失念、おそらく分散分析だったと思う)でも、やはりスティール・ドゥワース法が紹介されており、そこではSPSSではこの多重比較はできないために、Excelを使ってのやり方が掲載されていた。
 さらに、Dunnet法というものもあり、これは例えば研究において対照群を設定した時のように、特定の1つの群と他の群を1つ1つ比較していく時に使われるものらしい。対照群と条件1の群、対照群と条件2の群のような時に。

 そして、私が使用したシェッフェの方法も多重比較の1つとして紹介されており、その特徴として適用範囲は広いが有意差が出にくいということが書かれてあった。
 ちなみに、テューキー・クレーマーとスティール・ドゥワスの2つは対比較であり、シェッフェは対比とあるが、両者の違いは対比較がある群ともう1つの群とで対を作り、その対に差があるかを全ての対について検定しているのに対し、対比においてはそうした2群の比較だけではなく、ある群とある群を合成した群を作り、それと他の群を比較する、ということもできるようだった。この辺になると私の理解では追いつかないが、とにかくシェッフェ法は適用範囲が広いものの、検出力は低いという特徴を持つ、ノンパラメトリック検定における多重比較の1つであることは確かなようだった。

 そのようなわけで、私の調べた範囲では、多重比較としてマン・ホイットニーを積極的に行うという記述は見られなかった。確かにSPSSにおいてはノンパラメトリック検定から2群の比較を選べばマン・ホイットニーのU検定を選択できるとは思うが(やってはいないので詳細は分からない)、多重比較としてそれが適しているということは確かめられなかった。

 といっても、私もまだ図書館にまで足を運べてはいないので、引き続き調べていきたいと思う。ちゃんと統計を勉強しようとすればするほど、調べなければいけないことが増えてきて、なかなかに大変な作業だ。
 もしも、どなたかこのあたりのことに詳しい方がいらっしゃれば、ぜひ教えてください。

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コメント

私もノンパラはよくわかっていないのですが
(パラメトリックな検定はわかっているのかと言われたらこれも…)
この件に関する記述をいくつか見つけましたので
引用しておきます。

森敏明・吉田寿夫編著 1990 心理学のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房
第4章 質的データの検定法 第2節 順序尺度に基づくデータの解析
3. 対応がない3条件以上の中央値の比較:クリスカル・ウォリスの検定(p211-214)より

・・・・ここから・・・・
 なお、各条件間の対比較(多重比較)に関しては、マン・ホイットニーの検定を用いて、ライアン法を適用すればよい。その際、どの2条件から比較を始めるかに関しては、各条件の中央値(または順位の平均値)に基づいて判断すればよい。
・・・・ここまで・・・・

とのこと。

「ライアン法」とはhttp://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Average/Ryan.html
によると
名義的有意水準というのを設定する方法で、Tukey法、Scheffe法などに並ぶ多重比較の方法だそうです。

また

石村貞夫 2002 SPSSによる分散分析と多重比較の手順 東京図書
第3章 クラスカル・ウォリスの検定と多重比較

でも、多重比較にマン・ホイットニーの検定を用いる方法が載っています。その際「正確有意確率と有意水準α=0.05を比較してしまうと多重比較にはならないため、ボンフェローニの不等式による修正をする」との記述があります。

データ数が少ない時は、SPSSの正確確率検定をするようにとのことでした。

臨床におけるデータは正規分布しないものが多く、私もボチボチとノンパラの勉強を始めたところです(と言いつつ修論を書く時はノンパラ使ってましたが)。

もっと詳しい方がいらっしゃったら是非ともコメントいただきたいところです。

投稿: ロテ職人 | 2006/09/27 07:15

ついでにこんなのも見つけました。

広島大学 外国語教育研究センター 前田 啓朗のサイト
http://home.hiroshima-u.ac.jp/keiroh/maedahome.html

多重比較(対比較)について
http://home.hiroshima-u.ac.jp/keiroh/maeda/statsarekore/posthoc.html
ライアンの方法について
http://home.hiroshima-u.ac.jp/keiroh/maeda/statsfaq/ryanmethod.html

ボンフェローニの方法もライアン法も2群間の平均値の差の検定をくり返して、最終的にはp値を判断する有意水準を調整する方法のようです。

ただ、ボンフェローニの方法だとペア数が増えると不当に検出力が低くなる、と。

投稿: ロテ職人 | 2006/09/27 07:22

ロテ職人さん、ありがとうございます。

なるほど、テクニカルブックに書いてあったのですね。いつも、買おう買おうと思って、結局研究室や図書館のを使っていたので、しっかりと読んではいませんでした。
でも、おかげさまで勉強になりました(結局今日は図書館に行けませんでした)。

やはりこれはあれですかね、「マンガでわかるノンパラ」を期待しなければいけませんかね。

投稿: nocte | 2006/09/27 21:24

多重比較に関しては,永田靖・吉田道弘「統計的多重比較法の基礎」サイテンティスト社,が非常に詳しく,かつよくまとまった本です。Bonferroniを改良したHolmの方法というのがありますが,いずれも多重性のための第1種の過誤を調整するためのアルゴリズムなので,個々の検定はパラメトリック・ノンパラメトリックを問いません。Rならばpairwise.wilcox.test()関数で,Holmの方法で検定の多重性を調整したウィルコクソンの順位和検定(マン・ホイットニーと数学的に等価です)が実行できます。
http://phi.med.gunma-u.ac.jp/medstat/it11-2006.pdf
の終わりの方が参考になるかもしれません。

投稿: 中澤 | 2007/01/12 11:27

中澤様

別のエントリと合わせ、重ね重ねありがとうございます。

「統計的多重比較法の基礎」は書名だけは横目で見ながら、まだそこまではたどりつけない、と後ずさりしていた書籍の1つです。Holmの方法は聞いたことがありませんので、また勉強しようと思います。

投稿: nocte | 2007/01/18 01:40

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